牛乳・乳製品はカルシウムやビタミンA、B2、B12などに加え、良質たんぱく質(参照:トピックスNo.9)、脂質を含み、優れた栄養価をもつ食品として知られています。NILS-LSAでは地域在住の60歳以上の方を対象に、牛乳・乳製品を含む様々な食品摂取と認知機能との関連を、第2次調査(2000-2002年)から第7次調査(2010-2012年)の縦断(経時)データを用いて男女別に検討しました。食品の摂取量は3日間の食事の内容を計量して記録していただく食事秤量記録調査から、認知機能はMMSE(Mini-Mental State Examination)という検査で判定しました。その結果、図に示すように、60歳以上の女性では、牛乳・乳製品の摂取量が多いほど、認知機能低下リスクが小さくなりました。また牛乳・乳製品以外の食品群では、男女ともに、穀類摂取量が多いほど、認知機能低下リスクが大きくなりました。
【認知症予防】食事と認知機能(2)
~牛乳・乳製品~
皆さんは普段牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品をとりますか?毎日とる方から、好きではないけど健康のために時々とる、全くとらない、など、人により摂取の頻度は様々と思います。今回は、この牛乳・乳製品に着目し、認知機能(考える、記憶する、判断するなどの知的な能力)との関連をご紹介します。
牛乳・乳製品はカルシウムやビタミンA、B2、B12などに加え、良質たんぱく質(参照:トピックスNo.9)、脂質を含み、優れた栄養価をもつ食品として知られています。NILS-LSAでは地域在住の60歳以上の方を対象に、牛乳・乳製品を含む様々な食品摂取と認知機能との関連を、第2次調査(2000-2002年)から第7次調査(2010-2012年)の縦断(経時)データを用いて男女別に検討しました。食品の摂取量は3日間の食事の内容を計量して記録していただく食事秤量記録調査から、認知機能はMMSE(Mini-Mental State Examination)という検査で判定しました。その結果、図に示すように、60歳以上の女性では、牛乳・乳製品の摂取量が多いほど、認知機能低下リスクが小さくなりました。また牛乳・乳製品以外の食品群では、男女ともに、穀類摂取量が多いほど、認知機能低下リスクが大きくなりました。
解析)
一般化推定方程式を用い、第2次調査の食品群別摂取量(1標準偏差を1単位とみなした)と第3-7次調査のMMSE27点以下となるリスクを検討した。調整要因は、ベースラインの年齢、ベースラインからの追跡期間、MMSE得点、教育歴、体格指数、世帯収入、喫煙、エネルギー摂取量、病歴。
参考)
NILS-LSA第7次調査(2010年ー2012年)に参加した60歳代男女の平均(標準偏差)摂取量=穀類:428(132)g、牛乳乳製品147(122)g
国民健康栄養調査(2012年)の60歳代男女の平均(標準偏差)摂取量=穀類:436(170)g、牛乳乳製品103(126)g
図:食事摂取と認知機能低下(MMSE27点以下)リスク
つまり、牛乳や乳製品をたくさんとっている方は、いろいろな要因を考慮しても、認知機能が低下しにくいという結果でした。そして穀類摂取量が多いほど、認知機能低下のリスクが大きくなりました。詳しく解析すると、うどんなどの麺類のように副菜(おかず)が少ない穀類中心の食事をとる傾向にある方で、認知機能低下のリスクが上昇していることがわかりました。
では、穀類と牛乳・乳製品のどちらの要因が、より認知機能低下リスクと関連しているのでしょうか。これを検討したところ、牛乳・乳製品の摂取量を考慮しても、穀類摂取量が多いほど認知機能低下リスクが大きくなっていました。このことは、牛乳・乳製品も含めて、穀類以外の副菜(おかず)をとる食生活が、認知機能の維持に効果的であることを示しています。
牛乳・乳製品に対する嗜好は人によって違い、また乳糖不耐症や牛乳アレルギーの方など、体質により摂取することが難しい場合があるため、全ての方に牛乳・乳製品の摂取をすすめることはできません。しかし、身近に手に入る栄養価の高い食品ですので、体質上の問題がない方は、毎日の食卓に上手に取り入れると良いかもしれません。
近々このコラムにて、穀類以外の副菜に注目して「色々な食品を摂取すること」の認知機能に対する影響について、ご紹介したいと思います。
体質上の問題がなければ、牛乳・乳製品を食卓に取り入れて、認知機能の低下を予防しましょう
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